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交通と統計 2012年6月(通巻28)



2012年6月20日発行
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「公開座談会」  統計から見た大都市輸送市場の変化
  
出席者(発言順)
 加藤 浩徳:東京大学大学院工学系研究科・准教授
 太田 雅文:(株)東急ステーションリテールサービス取締役副社長
 青木 亮 :東京経済大学経営学部教授
 金山 洋一:(独)鉄道・運輸機構鉄道建設本部計画部計画課長
司会
 今城 光英:大東文化大学副学長

 「統計から見た大都市の交通の変化」ということで、識者の先生方からお話を賜ります。
企業不祥事は撲滅できるのか ―経営的視点より―
  
中川 英彦なかがわ ひでひこ:元京都大学法学研究科教授

 企業不祥事の社会的影響が大きくなるに従って、企業不祥事が発生する度に企業のコーポレート・ガバナンスを強化する法改正が行われてきた。監査役の権限拡大や社外監査役の導入、 内部統制システムの確立義務などであり、最近では社外取締役の導入も検討されている。また、証券取引所も、上場企業に対して独立役員(企業と利害関係を持たない社外取締役または監査役) を選任することやコーポレート・ガバナンスに関する情報を積極的に開示することなどをルール化している。経済界も企業不祥事に対しては強い危機感を持っており、日本経団連など経済団体 をはじめ各企業も不祥事の撲滅に取り組んでいる。
 このような状況にもかかわらず、企業不祥事は一向に跡を絶たない。とりわけ最近は、経営者自らが主導する企業不祥事が目立ち、経営者の企業論理の低下が強く危惧されている。それは何故なのか。 本稿は、過去の企業不祥事の種類や特徴を分析することによって、経営的視点から不祥事の原因や動機を探り、真に有効な防止策がありうるのかを考察することを目的とする。
外交と情報
  
津守 滋つもり しげる:立命館アジア太平洋大学客員教授

 情報は、すべての人間行動の判断の基礎材料である。「十分な正しい」情報がなけらば、判断が狂い、正しい行動が不可能ないし困難になる。正しい情報だけでは十分でない。「十分な」量の 情報が必要である。一知半解は極めて危険である。えてして人は自分の意見に合致する都合の良い情報だけを集め、「ひとりよがりの」判断を下し、とんでもない間違いを起こす。つまり情報は 多ければ多いほどよい。特に自分にとって都合の悪い情報を集めることが肝要である。
中央新幹線計画の歩みを振り返って
  
宇野 護うの まもる:東海旅客鉄道株式会社 取締役 中央新幹線推進本部長

 中央新幹線計画は昨年5月、国土交通大臣が東海旅客鉄道株式会社を営業主体、建設主体に指名し、引き続いて整備計画を決定、その後同社に建設の指示をし、実現に向け新たな局面に入った。 筆者は現在JR東海にて中央新幹線計画の推進を担当しているが、私自身と中央新幹線計画の関わりと同計画の長年の歩みについて折々の雑感を含め振り返ってみる。
韓国の建設生産を取り巻く環境の変化と技術開発の動向
  
前田 純一郎まえだ じゅんいちろう:高麗大学工学部 建設・環境工学科教授

 ソウルの中心部を流れる漢江の南岸の蚕室(チャムシル)に超々高層ビルが建設中である。これはロッテ・チャムシル・スーパータワーと称し、地上123階、地下6階、高さ555mの超々高層ビルで、 2014年に竣工すると韓国で最も高いビルとなる。釜山市にも500mを超える超々高層ビルの建設計画があり、さらに同様の計画が国内で数件進行中とも聞いている。右肩下がりで建設投資が減少する 日本に対し、近年伸びは鈍っているが、韓国の建設投資は依然として活発である。
 本稿では、このような韓国における建設活動の背景になる社会的・経済条件の変化について概観し、それに対処すべく取り組まれている研究開発の一端を紹介する。
鉄道資料研究: 鉄道統計発達史史論ー1
  
加藤 新一かとう しんいち:一般財団法人交通統計研究所理事

 財団法人交通統計研究所は、日本国有鉄道の計算業務・統計業務の実務を担当する現業組織として設立された歴史を有し、人的つながりも深かった。このような経緯 から、日本国有鉄道の解散にいたる過程のなかで、とくに、明治期以来の国有鉄道の統計部門が統計業務のために現用し、公式に保存してきた鉄道統計および関連資料を 、その散逸を阻止し保全する等の目的のため、当時の所掌部局である日本国有鉄道情報システム部からそのまま引き継ぎ、整理・保存してきた。すなわち、鉄道統計の いわば原本を、それが作成されたままに完全に保存する主体である。
 ここでは、国有鉄道が残した膨大な情報群のそれぞれについてその性格を明らかにし、それらが作成されたバックグラウンドに即し整理・活用しようとする立場からも 「鉄道統計」の問題意識を再検討し、「鉄道統計」を核とする統計系列群をそれらが作成されたままに再構成してみる研究作業が必要であると考える。本稿はその一環を なすものである。
   
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