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交通と統計 2016年4月(通巻43号)



2016年4月28日発行
定価2000円(税込み・送料別)
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[特集] 銀座線リニューアル T リニューアル計画について
  
佐藤 淳史さとう あつし:東京地下鉄株式会社鉄道本部鉄道統括部計画課主任
榎本 進えのもと すすむ:東京地下鉄株式会社人事部長 (前 鉄道本部鉄道統括部次長・計画課長)

 2017年に開業から90周年を迎える銀座線は現在でも1日平均100万人のお客様にご利用いただいている。銀座線沿線は浅草のように歴史があり、外国から多くの旅行者が訪れる街や 日本屈指の商業地である銀座、ファッションや音楽など様々など最先端の情報を発信し続ける渋谷など様々な街をつないでいる。加えて今後も、新国立競技場の建設や渋谷駅周辺基盤整備・開発計画 など様々な計画が予定されており、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、東京を代表する街をつないでいる銀座線の役割はより一層重要となることが見込まれる。
 銀座線がこれからも安全を追究し、お客様視点に立った質の高いサービスを提供することで、今まで以上にお客様や地域の皆様に愛され続ける路線であるために、東京メトロでは総事業費 約1,000億円をかけ、駅改修や車両更新など様々な施策から構成される銀座線リニューアル計画を推進する。本稿ではその概要を紹介する。
[特集] 銀座線リニューアル U 旧1000形から1000系の導入について 
  
鈴木 恵司すずき けいじ:東京地下鉄株式会社鉄道本部車両部設計課主任
松本 耕輔まつもと こうすけ:東京地下鉄株式会社鉄道本部車両部設計課長

 東京メトロでは、「伝統×先端の融合」を路線コンセプトとし、銀座線全線のリニューアル計画を実施している。その一環として、新型車両の導入等を進めている。
 東京地下鉄銀座線は日本初の地下鉄として、1927年に浅草〜上野間で営業を開始した。当時のポスターでは「東洋唯一の地下鉄道」というキャッチコピーが使われ、アジア・オセアニア地域 としても初めての地下鉄路線となった。開業当時から活躍していた1000形車両(以下旧1000形)は、日本初のATS装置(自動列車停止装置)や、木製が主流であった時代に鋼鉄製の車体を採用するなど、 当時の最先端技術が盛り込まれていた。
 1983年からは、銀座線近代化計画を具体化する取り組みとして、アルミ車体やチョッパ制御など当時の最新技術を導入し、近代的なデザインと居住性を持たせた上、快適性を追求して旅客サービスの 向上を図った01系車両を投入した。その01系も導入から25年以上経過し老朽化が進んだことから、2011年からは、順次1000系車両に更新されている。
 今回は、銀座線車両初代の旧1000形と対比する形で新型車両の1000系について紹介したい。
[特集] 銀座線リニューアル V 銀座線リニューアルにおける駅づくり
  
村里 誠むらさと まこと:東京地下鉄株式会社鉄道本部工務部建築課課長補佐
古賀 直紹こが なおつぐ:東京地下鉄株式会社鉄道本部工務部建築課長

 東京メトロでは、2017年の銀座線開業90周年を見据え、銀座線全駅のリニューアルを進めるため、2012年から銀座線の魅力向上に寄与する様々なアイデアを公募するデザインコンペを 実施している。
 銀座線における駅のリニューアルにあたっては、個々の駅を単に綺麗にするのではなく、その過程を通して、沿線地域の皆さまをはじめ、日頃から銀座線や東京メトロの各線をご利用 いただいている多くの方からさらに愛される路線にしていきたいという想いから、お客様にも一緒に駅づくりに参加していただきたいと考え、お客様からデザインを広く公募する 「銀座線・駅デザインコンペ」の開催に至った。
「開業10周年を迎えたつくばエクスプレス」
  
柚木 浩一 ゆのき こういち:首都圏新都市鉄道株式会社代表取締役社長

 平成27年8月24日、当社は開業10周年を迎えた。この10年間、沿線自治体や事業者等の取り組みによる沿線開発が進展したことに加え、有責事故を起こすことなく、「安全・安定・安心」に徹底した鉄道運行に努めたことが利用者の 大きな信頼を得て、輸送人員は堅調に推移している。
 本稿では、構想から開業までの歩みを振り返るとともに、開業以降の様々な取り組を紹介し、将来に向けた所見を述べたい。
スイスの鉄道  優れたダイヤ、総合交通体系と公費助成による高い利用率
  
大内 雅博おおうち まさひろ:高知工科大学社会システム工学教室教授

 スイスの鉄道は、人口密度に対する利用率が高い。その理由を、@列車本数の多さと接続の良さによる実質所要時間の短さ、A他鉄道会社や他公共交通機関との連携の良さ、B経費の半分に及ぶ公費助成による運賃抑制、と 3つの方策に仮定し、日本の鉄道(JR)と比較して考察した。
[鉄道施設探訪記] 「第3回 広軌鉄道への準備」旧徳重トンネルと旧広木トンネル
  
小野田 滋:公益財団法人鉄道総合技術研究所情報管理部担当部長

 鉄道にまつわるさまざまな施設を紹介するシリーズである。多くの鉄道施設は見慣れた風景の中にとけこみながら、さりげなく存在している。このシリーズでは、そうした日常風景に埋もれた「逸品」にスポットをあて、その「真価」を紹介している。ここに登場する鉄道施設は、誰でもが知る鉄道施設ではなく、 むしろ知る人ぞ知るような物件ばかりだが、このシリーズによって黙々と鉄道輸送を支え続けてきた鉄道施設の存在を再認識していただければ幸いである。                  

 日本の鉄道は、狭軌の鉄道としてスタートしたため、これを広軌に改築して輸送力を高めようとする主張は、明治時代の半ば頃からくすぶりはじめ、調査委員会を設置するなどして議論が尽くされたが、実現に至らないまま終わった。広軌鉄道が実現に至らなかった理由はいくつかあるが、すでに狭軌鉄道を前提として建設した鉄道施設が数多く存在し、これを広軌の規格に改築するためには 莫大な経費と時間を要すると予測され、その実現が容易でなかったことも大きな要因であった。
 線路の幅そのものは、レールを移設して広軌用のまくらぎに交換すれば比較的容易に改軌できたが、トンネルは断面の狭い狭軌の規格で建設されていたため、これを広軌用の広い断面に改築することは難しく、断面を拡げてより大型の車両を通すことができなければレールの幅だけ広軌化しても意味がなかった。このため、改築が難しいトンネルをあらかじめ広軌の断面で建設することになり、 当時建設中であったいくつかの建設線で広軌断面のトンネルが用いられた。
[書評]「世界の鉄道」/ 一般社団法人海外鉄道技術協力協会
  
今城 光英いましろ みつひで:大東文化大学教授

 海外鉄道技術協力協会(JARTS)から、「世界の鉄道」新刊が刊行された。本文に資料編を加えて500ページ近い大部の単行本である。本書の旧版が2005年の刊行だから、10年ぶりの改訂ということになるが、名実ともに新規の書籍として 編集され、カラー写真と図版が豊富な美しい仕上がりになっている。対象とする各国の鉄道自体が、この10年間で大きく生まれ変わっており、本書を通じてその変貌を知ることができる。
 本書で取り上げる鉄道は、基本的に国有鉄道とその後身にあたる民営化された鉄道である。幹線鉄道を中心とした各国の鉄道といっていいだろう。米国については、1級鉄道が収録の対象になっている。したがって、地下鉄や路面電車 などの都市交通、スイスの民営鉄道のような観光鉄道、日本の都市郊外電車などは含まれない。とはいうものの、鉄道整備計画、貨物鉄道、都市鉄道事情などについては、適宜触れられている。[書評の一部抜粋]
 
 
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