[特集] 北陸新幹線開業1周年 T 鉄道・運輸機構 長野〜金沢間の概要
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福山 達雄:独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 鉄道建設本部 新幹線部新幹線第二課
堀川 淳:独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 鉄道建設本部 新幹線部新幹線第二課
2015(平成27)年3月14日に、北陸新幹線(長野〜金沢間)が開業した。北陸新幹線は東京都を起点とし、長野市付近・富山市付近・小浜市付近を経由して大阪市に至る、延長約700Kmの路線である。
開業区間である長野〜金沢間は延長約230Kmに達する。当該区間は開業延長として過去最長、運行主体も複数社、供給を受ける電力会社も複数、また国内有数の豪雪地帯をルートが通っている等
、整備新幹線の建設主体である鉄道・運輸機構にとっても、初めてづくしの路線であると言ってもよい。
本稿では、過去の経緯について簡単に整理し、そして北陸新幹線の構造物について部門別(土木、軌道、電気、建築、機械)に紹介する。
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[特集] 北陸新幹線開業1周年 U JR東日本 北陸新幹線開業に向けた取組みと開業1周年を迎えて
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杉山 史則:東日本旅客鉄道株式会社 営業部営業戦略グループ 課長
2015(平成27)年3月14日に開業した北陸新幹線は東京〜金沢間を最速2時間28分で結び、大きな時間短縮効果を実現した。開業後1年間の高崎駅〜軽井沢駅間の輸送実績は対前年
191%と大きく伸び、首都圏だけでなく東日本エリア全体から北陸エリアへの流動が拡大した。
当社は2013(平成25)年4月に北陸営業センターを設置し、地元自治体やJR西日本と開業準備を進める一方、広域観光周遊ルートの整備にも取り組んだ。2014(平成26)年10月から
当社独自で「Japanese Beauty Hokuriku」キャンペーンを実施したほか、北陸新幹線開業までの宣伝告知展開により開業ムードを醸成し、開業のスタートダシュをきることができた。
北陸新幹線開業に合わせて当社は、「えきねっと」や「モバイルSuica」によるIT商品や、当社が展開する50歳以上の会員組織「大人の休日倶楽部」会員向けの「大人の休日倶楽部会員限定
北陸フリーキップ」を設定したほか、インバウンド需要取り込みのためJR西日本と共同で「北陸アーチパス」や「立山黒部オプション券」を設定した。
開業後に実施した北陸デスティネーションキャンペーン(以下、「DC」) では、当社の旅行商品である「びゅう商品」を利用して北陸へご旅行されたお客様が前年の約7倍となるなど、大きな伸びを見せた。
開業1周年を迎え、現在JR西日本と共同で「北陸新幹線開業1周年キャンペーン」を実施しているところであるが、秋には「北陸アフターDC」、冬には「Japanese Beauty Hokuriku」キャンペーンを実施
することで、引き続き旅行需要の喚起に努めるほか、2016(平成28)年4月29日に運行開始した「GENBI SHINKANSEN(現美新幹線)」や「のって楽しい列車」を活用した広域観光周遊ルートの整備等を通じた観光流動創造に
取り組んでいく。
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[特集] 北陸新幹線開業1周年 V JR西日本 開業後の状況と今後の展望 |
田村 紀人:西日本旅客鉄道株式会社 営業本部 営業企画 課長
2015(平成27)年3月14日の北陸新幹線長野〜金沢間開業にあたり、当社は地元の方々と連携して、観光地としての北陸エリアの魅力のブラッシュアップに取り組むとともに、北陸
デスティネーションキャンペーン(以下、「北陸DC」)を開催し、首都圏や関西からの観光でのご利用促進を進めてきた。また、ビジネス需要に対しては、航空機の動向も意識しながら、便利な
ネット予約商品を投入し、首都圏と金沢・富山におけるシュア向上に取り組んできた。
開業から1年が経過したが、これまで想定を上回る、非常に多くのお客様にご利用いただいた。
ここでは、北陸新幹線開業に伴うご利用状況の変化について、各種データを基に開業1年目の実績を振り返るとともに、開業2年目の見通しや敦賀延伸を見据えた中長期的な展望
について記すことで、北陸新幹線のさらなるご利用拡大に向けた今後の取り組みにつなげていきたい。
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「大阪環状線の歩みと大阪環状線改造プロジェクト」 |
長谷川 一明 :西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役副社長兼執行役員 創造本部長
JR西日本は、2013(平成25)年度から5ヶ年計画で進める「中期経営計画2017」において、近畿エリアの線区価値向上策の一つとして、大阪環状線の総合的なブラッシュアップを行う「大阪環状線改造プロジェクト」を推進している。
大阪環状線改造プロジェクトでは、@安全快適な駅づくり(駅美装改良)、A駅構内及び高架下の開発・リニューアル、B車両新製、C地域や他交通事業者との連携の4点を重点施策と定め、大阪環状線を「行ってみたい、乗ってみたい」
線区に改造するというスローガンのもと、大阪のまちの活性化の一端を担うことを目指している。
本稿では、大阪環状線を重点線区と位置付けた経緯とこれまでに大阪環状線改造プロジェクトで取り組んできた施策内容や成果を、大阪環状線の路線の成り立ち等とあわせて振り返るとともに、今後の大阪環状線が目指すところを示したい。
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[鉄道施設探訪記] 「第4回 仁杉巌元国鉄総裁と信楽高原鉄道・第一大戸川橋梁
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小野田 滋:公益財団法人鉄道総合技術研究所情報管理部担当部長
鉄道にまつわるさまざまな施設を紹介するシリーズである。多くの鉄道施設は見慣れた風景の中にとけこみながら、さりげなく存在している。このシリーズでは、そうした日常風景に埋もれた「逸品」にスポットをあて、その「真価」を紹介している。ここに登場する鉄道施設は、誰でもが知る鉄道施設ではなく、
むしろ知る人ぞ知るような物件ばかりだが、このシリーズによって黙々と鉄道輸送を支え続けてきた鉄道施設の存在を再認識していただければ幸いである。
昨年の12月5日に元日本国有鉄道総裁の仁杉巌さん(1914〜2015)が他界された。同じ年の5月に行われた「百寿をお祝いする会」では矍鑠としたお姿に接したばかりだったので訃報が未だ信じられないが、亡くなる直前まで「仁杉学校」を続けて技術の継承に取り組み、会うたびに鉄道の将来を案じていた。仁杉さんが国鉄総裁の頃、筆者は末端の新米国鉄職員として現場を右往左往していたので
、「総裁」としての印象が強かったが、その後、鉄道技術研究所に転勤となり、仁杉さんがかって研究所にも在籍されていたことを初めて知った。今回は、仁杉さんの原点となったプレストレストコンクリート(以下「PC]と略す)技術とその意義について、信楽高原鐡道の勅旨〜玉桂寺前間に架かる営業線では日本最初のPC橋梁である第一大戸川橋梁の現状とともに紹介してみたい。
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