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交通と統計 2017年1月(通巻46号)



2017年1月31日発行
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品川駅・田町駅周辺のまちづくり@ --国際交流拠点・品川の実現に向けて--
  
安部 毅あべ たけし:東京都 都市整備局 都市づくり政策部 多摩開発企画担当課長

 品川駅・田町駅周辺地域(以下、「本地域」という。)は、首都圏有数の交通結節点となり、大規模な土地利用転換の可能性、魅力ある歴史・環境資源など、国内でも稀有な特色と 高いポテンシャルを持っている。
 東京都は、本地域を今後さらに重要な拠点として更新していくために、学識者、民間事業者、国、関係区、東京都で構成される「品川駅周辺基盤整備・まちづくり検討委員会」での 検討を踏まえ、まちづくりの指針となる、「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン」の改訂を行った。
 現在、このガイドラインに掲げた将来像「これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点・品川」の実現に向け、世界の人々が住み働き集う都市を目指し、まちづくりの計画段階 から、公民協働で多様な取組を行っている。
 品川駅・田町駅周辺のまちづくりA --品川駅改良工事及び車両基地跡地開発--
  
新井健一郎 あらい けんいちろう:東日本旅客鉄道(株) 執行役員 総合企画本部 品川・大規模開発部 部長

 品川駅は、明治5年(1872年)9月(新暦10月)に本開業した新橋〜横浜間の運行に先立ち、同年5月(新暦6月)、品川〜横浜間で仮開業された際に設置された駅で、まさに我が国で 最初の鉄道駅となるものである。
 その後、大正、昭和期と日本経済成長に合わせた輸送改善計画が進み、東海道線の複線線増や山手・京浜線の分離運転などを経て現在に至っており、東海道新幹線や京浜急行 線の接続などから、現在の当社品川駅における1日の乗車人員は平均36万人を超え、首都東京の拠点となる大ターミナル駅となっている。
 このような中、現在の品川駅においては平成27年3月14日に開業した上野東京ラインの東海道線乗入れに伴う駅施設の改良や新車両基地の整備、車両基地跡地開発に向けた 旧施設の撤去更地化など、大規模な駅改良工事が進められている。
 本稿では、鉄道開業から約145年が経過した現在に至るまでの駅改良工事を振り返るとともに、現在進められている駅改良工事、ならびに車両基地跡地でのまちづくりの概要について紹介する。
ドイツ鉄道の都市間旅客輸送事業が直面している課題とその対応策
  
土方 まりこ ひじかた まりこ:一般財団法人運輸調査局調査研究センター主任研究員

 ドイツのICE(Inter City Express)は、フランスのTGV(Train a Grande Vitesse)と並び、欧州地域を代表する高速列車としてわが国においても広く認知されている。また、ICEの第三世代の車両をベースとしたジーメンス社 のVelaroシリーズは、複数国への輸出にも成功している。
 ところが、ドイツを本拠国として、ICEをはじめとする長距離鉄道の運行に従事するドイツ鉄道(Deutsche Bahn :DB)グループの都市間旅客輸送会社は、継続的な事業不振に陥っている。
 本稿では、まず、同社の諸実績データの推移を確認することを通じて、その不振の実態を明らかにする。また、これを踏まえて、業績改善のために同社が策定した対応策の妥当性について考察することとする。
[鉄道施設探訪記] 「第6回 田中豊と羽越本線・折渡トンネル」日本最初のシールドトンネルをめぐって
  
小野田 滋:公益財団法人鉄道総合技術研究所情報管理部担当部長

 鉄道にまつわるさまざまな施設を紹介するシリーズである。多くの鉄道施設は見慣れた風景の中にとけこみながら、さりげなく存在している。このシリーズでは、そうした日常風景に埋もれた「逸品」にスポットをあて、その「真価」を紹介している。ここに登場する鉄道施設は、誰でもが知る鉄道施設ではなく、 むしろ知る人ぞ知るような物件ばかりだが、このシリーズによって黙々と鉄道輸送を支え続けてきた鉄道施設の存在を再認識していただければ幸いである。                  

 土木学会の顕彰制度のひとつに土木学会田中賞がある。「田中賞」は橋梁技術に貢献した橋梁や論文に対して贈られ、鉄道関係でもこれまで多数の橋梁や論文が受賞してきた賞である。その田中賞の由来となった田中豊は鉄道省の橋梁技術者として、鉄道院(省)総裁(大臣)官房研究所(現在の鉄道総合技術研究所)、帝都復興院(出向)を経て東京帝国大学土木工学科教授に 就任した。田中豊はもっぱら橋梁技術者として評価されているが、大学を卒業して鉄道省に入省した頃は、軌道関係の研究に従事しており、そうした初期の業績のひとつに、今回紹介する日本最初のシールドトンネル掘削機の設計があった。
  [書 評] 大内雅博著 『輸送密度から鉄道の本質が見える』
  
今城 光英 いましろ みつひで:大東文化大学経営学部教授

 [書評の一部抜粋]
 本書は、大内雅博教授(高知工科大学)が、「交通と統計」に10回にわたり連載した同名の論文をまとめて単行本としたものである。本書の構成は、第1部「輸送量に対する新幹線の効果」と第2部「東京圏通勤電車の輸送力設定」から なり、付録として「東京圏の各駅間輸送密度と乗車率」が収められている。A4判で組まれた大判の書籍に仕上がっており総ページ数は127ページである。
 第1部の輸送量に対する新幹線の効果では、「新幹線はどの程度大成功だったのか」、「新幹線の建設順序の妥当性」、「乗換えは嫌われるのか--東北・上越新幹線を例に」、「新幹線穴場駅の帳尻」、「新幹線は東京志向を促したのか」、と 5つの章が立てられている。
 第2部の東京圏通勤電車の輸送力設定では、「中距離電車のサービス格差の理由」、「忙しすぎる複線と暇な複々線」、「輸送密度が決める朝ラッシュ時の速度」、「品鶴線、埼京線と京葉線の実際の輸送密度を推定する」、「北千住・綾瀬間の実際の輸送密度を推定する」、という 5つの章が立てられている。また、サービス格差が感じられる中電の事情を考察し、車両基地の位置に言及している。
[速 報] 鉄道統計(平成27年度) JR・関連機関 
  
  鉄道に関する基本数値(社別の線区数、駅数、運輸成績、社員数、損益計算書、貸借対照表等)を各種資料から集約した統計資料です。
JR各社だけでなく、大手民鉄、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の情報も一部掲載しています。
 
 
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