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交通と統計 2017年10月(通巻49号)



2017年10月30日発行
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日本の鉄道コンテナ輸送を支える情報システム
  
野村 康郎のむら やすお:日本貨物鉄道株式会社 執行役員 経営統括本部技術企画部長

 日本で最初の鉄道コンテナ列車は1959(昭和34)年に運転を開始した「たから号」であった。たから号は汐留〜梅田間を10時間55分で貨物を運んだ。それからまもなく60年を迎えようとしている。その間、高速道路網の発展による トラック輸送が日本の物流の主流となるなか、鉄道コンテナ輸送は、定時制と中長距離の速達性、そしてコンテナ輸送情報システムによる利用者の利便性の向上により、利用拡大を図ってきた。
 今年、国鉄からJR貨物への分割、民営化から30年を迎えた。計数管理をはじめとする経営改革により、昨年度、念願の鉄道事業黒字化を達成することができた。これには現在稼働している鉄道コンテナ管理システム、 IT-FRENS&TRACEに蓄積されたデータが大きく貢献している。
 日本の将来に目を向けると、少子高齢化により労働人口が減少し、従来のトラック輸送は継続が困難な状況となりそうである。また、最近世界各地で大きな被害を引き起こしている異常気象の原因と考えられている地球温暖化対策も、 国を挙げて取り組む必要がある。これらの課題に対して、再び鉄道貨物輸送が注目されている。この期待に応えるためにも、安全、安定運行、より使いやすい輸送サービスを目指して、IoT,BigData,AIなどを含む、新たなシステム開発 を進めていく必要がある。
TWILIGHT EXPRESS瑞風の設計と鉄道におけるブランドについて 
  
大森 正樹 おおもり まさき:株式会社ジェイアール西日本テクノス(出向) 車両事業部設計部 部長

 TWILIGHT EXPRESS瑞風(以下「瑞穂」と称す)は2017年6月に運行開始したJR西日本の新しい寝台列車です。華やかな内装の列車として紹介されることも多くありますが、この列車の 狙いは地域に親しまれ沿線の風景を楽しむという鉄道の根源的な魅力を発信することにあります。それは鉄道におけるブランドとは何かを追究することであるとも考えています。 この列車や同時期に開発した車両も交えながら、車両設計者の視点で鉄道におけるデザイン、ブランドはどうあるべきかを考察します。
京都駅ビル20年の歩み
  
小川 修司 おがわ しゅうじ:京都駅ビル開発株式会社 営業部営業推進課 課長 

 平安建都1200年記念事業として建てられた京都駅ビルは、今年9月11日に、おかげさまで開業20周年を迎えました。京都駅改築事業は、国鉄時代から地元の皆様に熱望され幾多の変遷を経て、平成2年10月に 京都駅ビル開発株式会社の設立を契機に具体的に動き始めることになりました。必ずしも順風とは言えない状況の中で、JR西日本グループの総力を結集し、平成9年に無事開業を迎えることができました。 開業以降は、皆様の温かいご支援のもと、商業施設やホテル、劇場などの各施設が機能を発揮するとともに、ガラス屋根のアトリウムや171段の大階段などの特徴的な空間を最大限に活用し、地域の皆様と連携し ながら、京都の玄関口として広く京都の魅力を発信し続け、京都の活性化に寄与してきました。そして、今後も寄与してまいります。以下に京都駅ビルの20年の歩みを紹介いたします。
[鉄道施設探訪記]  「第9回 新御所トンネルと2人の鉄道技師」--中山忠三郎と今井潔--
  
小野田 滋:公益財団法人鉄道総合技術研究所情報管理部担当部長

 鉄道にまつわるさまざまな施設を紹介するシリーズである。多くの鉄道施設は見慣れた風景の中にとけこみながら、さりげなく存在している。このシリーズでは、そうした日常風景に埋もれた「逸品」にスポットをあて、その「真価」を紹介している。ここに登場する鉄道施設は、誰でもが知る鉄道施設ではなく、 むしろ知る人ぞ知るような物件ばかりだが、このシリーズによって黙々と鉄道輸送を支え続けてきた鉄道施設の存在を再認識していただければ幸いである。                  

 中央本線の四ツ谷〜信濃町間の御所トンネルのうち、緩行下り線(総武本線から中央本線に乗り入れる各駅停車)がくぐっている煉瓦造りのトンネルは1894(明治27)年に中央本線の前身である甲武鉄道の新宿〜牛込(現在の飯田橋付近)間が開業した時の構造物で、都心に残る数少ない明治時代の鉄道構造物でもある。このトンネルに隣接して、緩行上り線と、中央本線の快速電車が走る急行 下り線、急行上り線の3線がくぐる鉄筋コンクリート構造のトンネルがある。こちらは、1929(昭和4)年に中央本線を複々線化した時に完成したトンネルで、明治時代のトンネルと区別するために「新御所トンネル」と呼ばれ、古いトンネルは「旧御所トンネル」と呼ばれ現在に至っている。今回は、中央本線の複々線化工事の際に完成した新御所トンネルについて、その工事を担当した中山忠三郎と今井潔とともに紹介してみたい。
鉄道関係情報・1
  
荻野 隆彦おぎの たかひこ:一般財団法人研友社

 海外の鉄道関係の情報を紹介しています。
 
 
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