駅施設におけるユニバーサルデザイン導入の現状と課題
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田中 直人:島根大学客員教授
ユニバーサルデザインは「文化・言語・国籍・年齢・性別などの違い、障がいの有無、体力差を問わず、安全・安心・快適に多様な人々が利用できることをめざすデザイン」をいう。
その対象はものづくりや施設づくりなどハード面に限定されず、しくみや制度をはじめ人々の意識や心の在り方などのソフト面まで及ぶ。
駅施設は移動交通の結節点であり、不特定多数の人が利用する場である。また都市や地域の拠点としても整備されていることで、更に国内外からの利用者の多様化がすすんでいる。そのため
駅施設にはユニバーサルデザインの導入が不可欠である。
本論文では、駅施設におけるユニバーサルデザイン導入の基本的な考え方、「安全性・使いやすさ・わかりやすさ」からの課題整理、駅施設へのユニバーサルデザイン導入の一助となる国内外事例の紹介と考察を行う。
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東京都心部の駅改良プロジェクト(御茶ノ水駅・飯田橋駅)
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園田 弘世:東日本旅客鉄道株式会社 東京工事事務所山手課 課長
宇野 弘之:東日本旅客鉄道株式会社 東京工事事務所山手開発課 課長
東日本旅客鉄道株式会社では、お客様、地域の皆様に安心して快適にご利用いただけるように、さまざまな鉄道施設の改良プロジェクトを推進している。駅は「街の顔」「鉄道と街の接点」であり、そのポテンシャル
を最大限発揮し、地域社会の発展につなげるため、安全性・利便性・快適性の向上に資する各種改良工事を進めている。
東京都心部の駅については、その成り立ちの経緯や地形的な制約条件により、それぞれが抱える問題点を解決するにあたり多くの課題を有していることが多い。本稿では、現在改良プロジェクトを推進している駅のうち、東京2020前に
一定の節目を迎える「御茶ノ水駅」「飯田橋駅」について、計画の概要と工事状況を報告する。
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智頭急行開業25年の歩み
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寺坂 茂文 :智頭鉄道株式会社 総務企画課長
智頭急行株式会社は、2019(令和元)年12月に開業25周年を迎えました。
1892(明治25)年、民間有志による鳥取〜姫路間の鉄道の建設運動がおこり、運動から約80年後の1966(昭和41)年に智頭線(兵庫県・山陽本線上郡駅〜鳥取県・因美線智頭駅間として着工の運びとなった。しかし、1980(昭和55)年日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(以下「国鉄再建法」という。)に
より、智頭線の工事は中断された。その後、沿線自治体や住民の建設運動に応えるべく、1986(昭和61)年5月に第三セクターによる「智頭鉄道株式会社」が設立され、1994(平成6)年12月3日に建設運動から約一世紀を経て、念願の智頭線が開業することとなった。
本稿では、開業までの軌跡と25周年を迎えるまでの経緯について紹介するとともに、今後に向けての取り組みを説明する。
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[鉄道施設探訪記] 第19回 三鉄五橋を訪ねる - 長大コンクリート橋梁への挑戦 -
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小野田 滋:公益財団法人鉄道総合技術研究所情報管理部担当部長
鉄道にまつわるさまざまな施設を紹介するシリーズである。多くの鉄道施設は見慣れた風景の中にとけこみながら、さりげなく存在している。このシリーズでは、そうした日常風景に埋もれた「逸品」にスポットをあて、その「真価」を紹介している。ここに登場する鉄道施設は、誰でもが知る鉄道施設ではなく、
むしろ知る人ぞ知るような物件ばかりだが、このシリーズによって黙々と鉄道輸送を支え続けてきた鉄道施設の存在を再認識していただければ幸いである。
陸中海岸にそって走る三陸鉄道は、2011(平成23)年の東日本大震災で甚大な被害を受けたが、復旧工事も進み、JR東日本山田線の宮古〜釜石間を2019(平成31)年3月23日に三陸鉄道に移管して北リアス線(宮古〜久慈)と南リアス線(盛〜釜石)を統合してリアス線に一本化された。三陸鉄道の建設は、日本鉄道建設公団(現在の鉄道運輸機構)が担当したが、将来の整備新幹線建設を見据えて、5か所の試作的な
橋梁が建設された。これらの橋梁によってもたらされた技術は、さらに進化を遂げた技術もあれば、試作のままで終わった技術もある。今回は、旧北リアス線に建設された試作的な5橋を「三鉄五橋」と名付け、その沿革や特徴を紹介してみたい。
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