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交通と統計 2021年1月(通巻62号)



2021年1月29日発行
定価2000円(税込み・送料別)
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JR東日本のMaaSの取組み
  
田中 壮一たなか そういち:東日本旅客鉄道株式会社・MaaS・Suica推進本部MaaS事業部門 課長
小坂 真美こさか まみ:東日本旅客鉄道株式会社・MaaS・Suica推進本部MaaS事業部門 課員

 東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)では、地域に根差した経営と事業エリアで暮らす方々の生活を支えるという会社発足以来の変わらぬ使命のもと、地域のみなさまの移動をより安心に快適に提供するために、2018年から本格的にMaaSに取り組んできた。 変化の激しい社会の中で的確にニーズに対応するため、従来慣れ親しんだ鉄道敷設とは異なる柔軟性を重視した体制を立て、「人を起点にしたサービスデザイン」に挑戦し続けている。本稿ではJR東日本のMaaSに対する考え方、それに沿った体制づくりとこれまでの具体的な取り組み事例、そして今後の展望について述べる。

名阪特急のあゆみと「ひのとり」について
  
深井 滋雄ふかい しげお:近畿日本鉄道株式会 鉄道本部企画統括部技術管理部長(車両)

 近畿日本鉄道(以下、近鉄という)の名阪特急「ひのとり」は、2020年3月に大阪難波−近鉄名古屋間で運行を開始しました。「くつろぎのアップグレード」をコンセプトに都市間輸送を担う特急として、ビジネスや観光をはじめ、様々な場面でのご利用を想定して、快適にお過ごしいただける車内設備、サービスを提供することを重視して開発した車両です。
 本稿では、これまでの名阪特急のあゆみと「ひのとり」の開発経緯や企画内容について述べます。
えちぜん鉄道と福井鉄道の相互直通運転のあゆみ
  
伊東 尋志 いとう ひろし:えちぜん鉄道株式会社 専務取締役

 えちぜん鉄道株式会社と福井鉄道株式会社は福井県嶺北部でそれぞれ53km、25kmの路線を営業する鉄道会社である。この福井鉄道、えちぜん鉄道を両社共通駅である田原町駅で接続し、日本で 初となる異なる事業者間での鉄道区間から市内路面電車区間への相互直通運転をえちぜん鉄道の鷲塚針原駅と福井鉄道越前武生駅間(フェニックス田原町ライン)で、2016年(平成28年)3月より開始している。 福井では、この直通運転を基礎にして、行政と鉄道事業者、バス事業者が協力し、郊外から中心市街地へのレールによるダイレクトアクセスを可能とし、自動車に依存しすぎない、未来に向けたまちづくりを一体となって進めている。 本事業では、両鉄道会社のLRV車両(ki-boとFUKRAMU)の導入などのハード面に加え、旅客利便性向上のための乗継割引・ダイヤ調整や、駅を拠点としたまちづくりなど、サービス、ソフト の改良も行い、両鉄道の利用者の増加などの成果が出ている。自動車中心から、人間中心の都市構造へと、未来に向けた変化を官民一体となって進めてきたプロジェクトについて、その経緯を中心に解説する。
大阪鉄道学園の歴史と大学移行後のあゆみ
  
大津山 澄明 おおつやま すみあき:大阪産業大学 工学部交通機械工学科 教授

 鉄道は明治初期に鉄道先進国イギリスから導入された新しい総合技術システムであり、日本近代化のリード役であった。日本機械学会は日本の近代化に貢献のあった機械技術関連遺産を、「機械遺産」として 認定している。これは2007年にスタートし、2020年までの間に104件が認定・登録されており、そのうち実に10件が、「東海道新幹線0系電動客車」「230形233号タンク式蒸気機関車」などの鉄道関係である。 このように、明治・大正・昭和初期においては鉄道が日本および国内技術を索引しており、それら鉄道事業を担う人材の育成と教育は重要であった。その時期にあたり、関西において学校教育の使命を担ったのが、1928年 (昭和3年)に創立された「(旧)大阪鉄道学校」(以下、「大阪鉄道学校」)である。「大阪鉄道学校」はその後高校と大学へ移行し、現在は「大阪産業大学」として新たな展開をしている。 本稿では、「大阪鉄道学校」のこれまでの歴史を振り返るとともに、これからの鉄道にふさわしい教育を目指し、「大阪産業大学」で実践している鉄道工学に関する教育・研究等の内容を紹介し、今後の鉄道教育を展望する。
シリーズ「近代日本の技術の礎を築いた人々」を始めるにあたって
  
大山 達雄おおやま たつお:政策研究大学院 名誉教授

 本シリーでは明治維新時から明治中後期にかけて、わが国の技術の発展、技術者養成、高等教育の創設と整備に貢献したと思われる代表的な人々を取り上げ、彼らがどのような境遇の中で、何を 考え、どのような夢と目的に向かって努力し、どのような人生を送ったかを紹介したい。彼らによる西洋技術の導入、技術者教育の実現を中心とした業績は、その後の日本の産業、経済の発展に大いに 貢献したという意味で、彼らはまさに”近代日本の技術の礎を築いた人々”であるといえるであろう。彼らの人生観、生き方、価値観が彼らの経歴にどのように反映されているか、彼ら先人達がどのような 気持ちと考え方に基づいて行動したかという課題のもとに書いてみたい。筆者の知識と文章表現能力が不十分であることは避けられないものの、可能な範囲で上記課題に焦点を当て、明らかにしたいというのが目標である。 先人達がより広い視野を持ち、若者、学生、日本の将来に影響を及ぼし、貢献したといった観点を重視しつつ書くつもりであることを強調しておきたい。
[近代日本の技術の礎を築いた人々]  第1回 技術官僚と工学教育元祖 - 山尾庸三
  
大山 達雄おおやま たつお:政策研究大学院 名誉教授

 わが国が明治維新当時に西洋から近代技術を導入し、技術者教育を行う上で鉄道技術の導入は大きな役割を果たした。わが国の鉄道の発展に寄与した先人たちは、同時にわが国の技術者養成、工学教育、そして高等教育の普及に貢献した人々でもある。本稿シリーズ「近代日本の技術の礎を築いた人々」では、彼らがどのような人生観をもって、どのような考えもとに人生を送り、生きてきたかに焦点をあてて記すことを目指している。 彼らがわが国の明治期以降の発展に寄与、貢献した業績は大であることはもちろんであるが、それぞれの先人達はそれぞれの生い立ち、境遇の中で人生を送り、それがわが国のその後に影響を与えたはずである。その意味で、まず 最初に、わが国の技術官僚としてのみならず、工学教育、技術者養成の元祖ともいうべき 山尾庸三をとり上げることにする。
[速 報] 鉄道統計(令和元年度) JR・関連機関 
  
  鉄道に関する基本数値(社別の線区数、駅数、運輸成績、社員数、損益計算書、貸借対照表等)を各種資料から集約した統計資料です。
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