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交通と統計 2024年4月(通巻75号)



2024年4月26日発行
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日本における駅舎の保存・再生デザイン(前)
  
大内田 史郎 おおうちだ しろう:工学院大学 建築学部 建築デザイン学科 教授

 本稿は現在の我が国における駅舎の保存・再生デザインの在り方について明らかにすることを試みるものである。具体的には、建築的な観点から保存・再生デザインとしての手の加え方(インターベンション)の程度に応じた6つのカテゴリー (1.創建時の姿が保全(Preservation)されている駅舎、2.創建時の姿に復元・修復(Restoration)された駅舎、3.創建時の姿を基本に改修(Renovation)された駅舎、4.創建時の姿を基本に復元・再築(Reconstruction)された駅舎、5.駅以外の用途に転用(Conversion) された駅舎旧駅舎、6.俊工事の敷地から曳家・移築(Relocation)された旧駅舎)に分類したうえで、それぞれの代表的駅舎を取り上げて考察し、駅舎の保存・再生デザインとしての特徴や傾向について検証した。
大阪・関西万博 来場者輸送計画について
  
山下 雄史やました ゆうじ:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 交通局長 

 2025(令和7)年4月から10月まで大阪市臨海部の夢州で開催される2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博(敬称))には、約2,820万人の来場者が想定されている。
 この来場者輸送計画の策定にあたっては、アクセスルートが限られる四方を海で囲まれた人工島における開催となるため、全ての人が安全で快適に移動できるよう、交通インフラを最大限活用し、かつ各アクセスルートのバランスの取れた利用を図るとともに 、大阪、関西圏の社会経済活動を支える人流・物流への影響の最小化を図ることとした。
 また、大阪・関西万博の「未来社会の実験場」のコンセプトを踏まえ、MaaSや自動運転等の新たな移動サービスを実践するとともに、EXPO2025グリーンビジョンのもとに脱炭素化及び持続可能性の実現を図ることとした。
サステナブルな鉄道の実現を目指して
  
中村 英夫なかむら ひでお:日本大学 名誉教授

 日本において鉄道に関する報道と言えば、輸送障害や運転乱れ、あるいは、高齢化・労働力不足に起因した経営危機など暗い話題が多い。一方、海外に目を転じると 「鉄道こそモビリティの主役であるべき」として、将来をにらんだ旺盛な技術開発など前向きな報道が多い。このままでは、鉄道先進国を自認してきた日本が多くの経済指標と同様、衰退の憂き目に遭う可能性が高い。ただ、サステナブル (sustainable:持続可能)な社会を標榜する運動が、国を挙げて推進されている状況を見るなら、鉄道こそ主役であるべきと名乗りを上げるチャンスでもある。本稿では、まず、海外の技術開発の様子を紹介する。そして、モビリティという視点で サステナブルな社会への鉄道の貢献を確認する。さらに、地方交通線の問題を核として鉄道のあるべき姿について列車制御システムを中心に考察する。
イギリス植民地時代のインド鉄道の歩みとその整備効果(第二部) 
  
高津 俊司たかつ としじ:日本コンサルタンツ株式会社 特別顧問 

第二部 1869年から独立(1947年)までの歩み
  本稿では、1869年から1947年のインド独立までのインド鉄道の歩みについて述べる。
インドの鉄道は、当初民間会社への利子保証制度により整備が進められたが、そのが財政負担の増大もあり制度の見直しが進められた。その結果、インド政庁による鉄道建設及び経営の時代(1869〜1882年)となり、さらに 軍事輸送や大規模な飢餓救済の食料輸送のための鉄道整備の必要性から、再びインド政庁と民間会社による建設・経営の併存時代(1882〜1902年)となった。1902〜1947年の期間は、独立運動の高まりとともに、既存の民間鉄道会社 も政府に買い取られ、一元的な国の管理下に順次集約されるようになった。
COSMOS −新幹線の変革を支える総合システム
  
権代 繁昭こんだい しげあき:東日本旅客鉄道株式会社 新幹線統括部 新幹線電気ネットワーク部 システムユニット ユニットリーダー
白山 淳しらやま じゅん:東日本旅客鉄道株式会社 新幹線統括部 新幹線電気ネットワーク部 システムユニット マネージャー
高橋 陽介たかはし ようすけ:東日本旅客鉄道株式会社 新幹線統括部 新幹線電気ネットワーク部 システムユニット 副長

 Tohoku/Joetsu Shinkansen, which JR East inherited form Japan National Railways, was operated using COMTRAC(COMputer aided TRAffic Control system).
 However, in order to respond to various evolution in Shinkansen, such as expansion of the line and the diversification of transportation systems that are planned in the future, we conducted a fundamental review of system and newly established COSMOS(COmputerized Safety Maintenance and Operation Systems of Shinkansen). It began operation in November 1995. In addition to Automatic Train Supervision System, COSMOS has constructed seven subsystems for Shinkansen-related operations(Transport Planning System, Automatic Train Supervision System, Depot Operation Management System, Rolling Stock Management System, Maintenance Work Management System, Substation control monitoring System, and Centralized Information Control System). We respond to a variety of needs by creating COSMOS as a total System for all works.
 Since then, COSMOS has continued to evolve in line with the transformation of Shinkansen, such as support for extension in five directions(Tohoku(also Hokkaido), Joetsu, Yamagata, Akita. and Hokuriku), and joint operation with JR West and JR Hokkaido. IN May 2022, COSMOS was upgraded to the third generation , which incorporates tablet compatibility and enhanced security. Here we would like to introduce the transition and overview about COSMOS.
[鉄道施設深訪記] 第34回 横浜港の鉄道遺産を訪ねる(下)  
  
小野田 滋:公益財団法人鉄道総合技術研究所 アドバイザー 

 鉄道にまつわるさまざまな施設を紹介するシリーズである。多くの鉄道施設は見慣れた風景の中にとけこみながら、さりげなく存在している。このシリーズでは、そうした日常風景に埋もれた「逸品」にスポットをあて、その「真価」を紹介している。ここに登場する鉄道施設は、誰でもが知る鉄道施設ではなく、 むしろ知る人ぞ知るような物件ばかりだが、このシリーズによって黙々と鉄道輸送を支え続けてきた鉄道施設の存在を再認識していただければ幸いである。                  

 今回は前回に続き「横浜港の鉄道遺産を訪ねる」と題し、開港165年を迎える横浜港の鉄道遺産を紹介します。

 
住所:〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町3-8-5千代田JEBL7階  電話:03--6862-8916(代表)  JR 057-3925 
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