1997.7.11交通新聞『国鉄問題の原点』書評記事
国鉄問題の原点
「JRへの移行時に、問題を解決ではなく当面封じ込めあるいは繰り延べの措置がとられたものがある。それらはいったん表面から姿を消したように見えるが、問題が消えたわけではない。国鉄がかつて直面し苦闘した問題はなお生き続けている」
本書のまえがきで著者は、このような指摘をしている。国鉄改革でJR各社が発足して今年は10周年の年。「新会社各社の運営は軌道に乗っている。が、国鉄の問題すべてが解決を見たわけではない」
本書は、国鉄がJRに移行する直前までの約7年間にわたって著者が交通新聞のコラム「日曜評論」に連載したものや、「運輸と経済」に執筆したものを一冊にまとめたものだ。
その狙いは「時の経過とともに、国鉄をめぐる諸問題について、当時の事情を的確に伝える資料の確保が難しくなると思われるので、淵源を解明し理解を深めたいと考えた」。国鉄問題を知る上で貴重な書。